A3! メインストーリー 第11幕 ACTING ON MY OWN 感想
A3! 第11幕を読んだ
感想としては「摂津万里…!!」と、このひとことに尽きる。どこまでかっこよくなるんですか貴方は。
だけどせっかくなので、もう少しだけ掘り下げて書いていきたいと思う
まぁ案の定というか何というか
とてつもなく面倒なことになっているなというのが、正直なところではある
欲しいものが手に入らなかった、だからそれを手に入れた人を陥れてやる
MANKAIカンパニーより自分たちの方が優れているのに、八角さんに本を書いて欲しかったのに
そんな理由で周りまで巻き込んで、自分の思い通りに駒を進めようとする
まるで幼稚な行為だと思う
だけどそれはA3!のストーリーを通して描かれてきた悪の姿でもある
初期に悪として登場したレニさんも「舞台の上で美しく咲ける人間は限られている」「幸夫さんは舞台に立つべき人間だ」「幸夫さんに戻ってきてほしい」
ただその気持ちと目的のためだけに、幸夫さんと創った、幸夫さんの思いを継ぐMANKAIカンパニーを否定し、対立するようにGOD座を創って導いていた
結局は悪の原動力なんて、利己的で排他的なものでしかないのだろう
少なくともA3!の世界では、悪を悪たらしめる理由はそういうところにあるのだと思う
そうでなくなった、MANKAIカンパニーの在り方を認められたレニさんは善人サイドへと移ってきているし
天立さん、最初出てきた時すっごく嬉しかったんだけどな
咲也くんを演劇の世界へと導いてくれた人
ある意味で、彼もMANKAIカンパニー再興の一端を担った、カンパニーの恩人だと思う
彼は咲也くんに「俺が役者になれたのは貴方のおかげです」と言われて、本当に、一欠も心動かされなかったんだろうか
もうそんな柔らかい心は失ってしまったのだろうか
どうしようもなく幼稚な悪人だけど、やっぱり私はA3!に毒されているので、演劇を好きな人間に悪い奴はいないと思いたい
天立さんが未だに本当に演劇を愛しているのかと問われれば微妙なところではあるけど
公演が終わった後の楽屋での様子とか見てても、すごく威圧的で機械的だもんなあ…
それは果たして、上へ行くにつれて身に付けざるを得なかった冷酷さなのか、そういう機械的な造り方しか知らないのか
いつも最適解が分かってる、みたいな話してたから、そこに感情の入る余地なんてないと思ってるのかもしれないな
咲也くんが劇団百花と出逢った時の芝居にしても「あれが最適だと思ったからやった」と言われてしまえば情緒の欠片もない
それでもたくさんの人の心を動かし、咲也くんの人生を変えるほどのパワーの宿る舞台を作り上げているのはすごいと思うけど
生まれてこの方、演劇に夢中になったことなんてない。ただ最適だと思った通りにやったらいい結果を残せて楽に上まで登り詰められたからそのままずるずると続けてるだけ。とか言われたらもう救いようがないな
まぁ世の中善人ばかりではないから仕方がないと言われればそれまでだけど、やっぱり演劇を題材にしたコンテンツである以上、そこに関わる人は基本的に善人であってほしい
そう思うのは、造物の世界に甘えているのだろうか
どんな結末にせよ、MANKAIカンパニーの芝居を見た天立さんが何を感じるのか、彼の行く末がどうなるのか
しっかり見届けたいと思う
今回、11幕全体を通して物語の中心にあった「原体験」というもの
私はこれを、あまり大切なものだとは思っていない
もちろんあるに越したことはないし、そういう経験をしているというのはとても素敵なことだと思う
辛くて苦しくて折れそうになった時、自分をもう一度奮い立たせることが出来るような原点を持つ人間は強い
だけど、そういうものがないからといって劣っているのかと言われれば、それは違うだろうと思う
原体験がなくとも、演劇に対する揺るぎない思いは本物だ
そしてその思いさえあれば、どこまでだって走り続けていられる
そんな中で、万里くんが秋組のポートレイトを原体験と言ってくれたことは個人的にとても嬉しかった
自分が主演を務めた旗揚げ公演ではなく、みんなのポートレイト
あそこから自分の役者としての人生が始まったのだと言われた気がした
あんなに「俺が俺が」で、周りの全部を下に見ていたような子が他者を見上げ、追いかけ始めた瞬間だったのだと思う
そしてもうひとつの柱であった「演劇でなくてはならない理由」
人生は選択の連続だというけど、その一つ一つに対して「どうしてその選択をしたのか」「何故それでなくてはならなかったのか」を答えられる人間なんてそういないと思う
たまたま小学生の時に出逢ったものが、ライバル視していた人が始めたものが、尊敬する兄がやっていたものが、一目惚れした人に誘われたものが、演劇であっただけだ
たしかにそこに「それでなくてはならない理由」はないけど、でも今更ほかの生き方を考えられるはずもない
そのくらいには演劇というものに魅せられ、愛情と熱量を持って向き合っている
結局カブトは何を求めていたんだろうか
彼だって、父親が演劇に関わる人間でなければ舞台に立つことはなかったかもしれないのに
「俺には演劇しかない」と言っていたけど、探せばもっと別の生き方もあるだろうに
「そうでなければならない理由」なんて、誰にも説明できないような気がする
万里くんが何度か引き合いに出していた咲也くんでさえ、あの時に傍にあったのが演劇でなかったら、今こうしてMANKAIカンパニーにいることもなかったかもしれない
そういうたくさんの可能性がある中から演劇を選び取っているのは事実だけれど「他のものじゃダメなの?どうして?」といわれて「演劇 "だけ" が〜だからです!」と自信を持って答えることができる人なんているのだろうか
そもそもMANKAIカンパニーにいる人たちの大半が「演劇がやりたくて」来たわけではないし
もちろん今では芝居も、そこで出来た仲間も大切にしてくれているけど、最初にカンパニーに足を運んだ理由が「演劇がしたいから」であった人間なんて少数だ
そう思えば、本当に奇跡のような空間なんだな
別々の人生を歩んでいた24人が、バラバラの理由で集まって、同じ夢を追いかけてる
改めておもしろいなあと思う
願わくば、こんな奇跡みたいな日常をずっと追いかけていたいけど、10幕で示された通り永遠なんてものはないのだ
だからといって、それが哀しいことばかりではないということはもう分かっているけど
10幕の「永遠なんてない、それでも」を経ての今幕「一瞬を永遠に」というのはとても良いなと思った
いつかは来ないかもしれないし、永遠に今が続くことはあり得ない。それを知ってる彼らは強い。動くべきところで動く
今は永遠ではないけれど、今ある想いをこの先に残すことはできる
A3!のこういうところが好きだなと思う
メタ的な読み方をすれば、今回まだ時期尚早、ずっと永く続いて欲しいと願うファンたちの中へ "終わり" を持ってくることへの意味付けとも取れる
たとえそうだとしても、上手い持って行き方だなと思った
正直わたしは、フルール賞を目指して動いていく、めちゃくちゃ大事なこの時期に、監督という立場にあるいづみちゃんが私用と劇団とを天秤にかけるのは如何なものかと思った
監督がそんなんで良いのかと
だけど真澄くんの言葉で、それらのモヤモヤは一気に晴れた
これは、MANKAIカンパニーのおかげでもう一度家族と向き合うことができた彼だからこその言葉だったと思う
家族と向き合って、その大切さを知って、さらに大きく成長した真澄くんだからこその説得力
たしかに、大切なものがひとつである必要はないよね
家族もMANKAIカンパニーもどっちも大切でいいし、立花幸夫の娘としてのいづみちゃんも、MANKAIカンパニー主宰兼監督としてのいづみちゃんも両立してていい
それにいづみちゃんの原体験は父親だ
芝居もMANKAIカンパニーでの監督業も、父を追って始めたこと
終わりに向かっていく今、その原点に立ち返るのはとても大きな意味があるのだと思う
にしてもまさか万里くんが演出側に回るとは思わなかった…
本当に初期からは考えられない成長ぶりだな
俺が主演だ!つって喧嘩してた頃が嘘みたい
自分の経験のために主演を名乗り出て、裏方である演出を経験したいと言い出して
最初に演出助手をやるって聞いた時、流石に負担が大きすぎないかと思った
もちろん「役者としてやっていく上で価値があることだと思うからやる」っていうのは本心だったと思うけど、やっぱりそこには多少なりともカブトへの対抗心があったと思う
あいつに出来て俺に出来ないはずないとか言ってるし
そこに潰されてしまわないか不安だった
監督不在の時とか、結構危うい場面多かったしね
でも彼は、最初っから十座くんへの対抗心で入ってきて、それをうまいこと糧にして歩んでいた
今回もそういう強みをしっかり活かしてきたなという感じがした
逆境に思えて、危うく思えて乗り越えてしまう
ほんっとかっこいいんだから…
カブトに「演技指導特になし」って言われても、喜んだり鼻を高くしたりするのではなく悔しそうな顔をして、食い下がるのもすごく好きだった
今までの彼なら「ほらな、俺天才だし」みたいなことを言ってたと思う
でも、そうじゃない、もっと上へ行きたい、何でも良いからアドバイスをくれよと食っていけるのは強い
成長したなあ…(n回目)
今回の「優等生をやめて、殻を破って120点になる」っていうのは、何もかもを楽にこなして、いつもしっかり周りが見れてる万里くんだからこその壁で、彼を真ん中に据えたことの意味が際立ってて良かったなと思う
ここで明らかになったカブトくんの全体像、まあなかなかにやべえやつだったな
遅刻はするわ態度は悪いわ愛想はないわマジサイアク
普通ならどんなに技量があっても性格これじゃなぁ…となるんだと思うけど、そうではない、他の部分がどれだけクソでもその技量だけでみんなに認められ、尊敬されてるってのが面白いなと思った
わたしの中では一生「掴めない男」のポジな気がするけど(志太とかも自分の中ではこのポジ)
あとお前、何だかんだちゃんと他人の能力も認めれるいいやつなのは分かったけど、万里くんは渡さねぇからな!!って叫んだ(モンペ)
引き抜こうとするんじゃありません!
こういう成長や自分の道を見つけていくストーリーでは、主人公を高校生に当てられることが多い
だけどA3!では中学生から大人までたくさんの人がいて、24人分それぞれの人生を歩んできてる
だからこそ、大学生にもそういう経験をさせてあげられる
支えてくれる大人がたくさんいるからね
そして悩んだ時、いろんな人の話を聞くことができる
これはストーリーとして、A3!のとても大きな強みだなと思った
実際、本当に将来が見え始めるのって大学生くらいからだと思うんだよ
中高でなりたいものを決めて大学に進学するけど、現実的な将来ビジョンが見えるようになる、考えられるようになるのはその頃からなんだなと、今、自分が大学生として生活しながら思ってみたりする
だからこそ、今回の話はかなり寄り添いやすかった
Re:Re:ポートレイトにはボロッボロに泣かされた
しかも万里くんが泣くとは思わん…ダメ…
ポートレイトとは言っても、しっかり観客への語り口調なのが良かったな
他のみんなは自分自身との対話って感じだったから余計に
何を捨ててでも舞台の上で芝居を続けたい、ではなくて、仲間との生活も、MANKAIカンパニーの評判も、全部全部守りながら、その上で芝居 "も" 大切にしたいっていうのがいいなあと思った
大事なものは、ひとつじゃなくていい
全部大事に抱えていていいんだよ
「演劇じゃなきゃダメな理由」なんてわからない。でもそれでいい。ただここで芝居がしたい、その気持ちが最大の理由になる
とってもかっこ悪くて最高にかっこよかった
改めて「摂津万里」という男が、役者が大好きだと感じた
本当に、摂津万里という人間がMANKAIカンパニーの、秋組の一員でいてくれて良かったと心から思った
万里くんがみんなと出逢ってくれて、みんなが万里くんと出逢ってくれて本当に良かった
万里くんの、みんなの「弱さを見せてもいいと思える相手」「同じことを同じ熱量で共有できる相手」がカンパニーの仲間であることがとても嬉しい
そして、そんな素敵な出会いと彼らの成長を間近で見せてもらえていることがとても幸せ
A3!に、摂津万里という人間に、MANKAIカンパニーのみんなに出逢えたことがとんでもない幸福なのだと思う。ありがとう
その前後、みんなが万里くんへ少しずつ手を差し伸べていてくれるのもすごく良かった
とくに太一くんたちとカラオケに行くあたりからもう涙が止まんなくてな…
万里くんが過去にやってしまった悪いことも自業自得的にその身に返ってきてしまったけど、彼がカンパニーのみんなに渡してきた優しさもちゃんと返ってきているんだと感じられた
いろんな人に愛されてるんだよなあ
それは万里くんの人柄の成したもので、彼が今まで人にしてきたことの鏡写しだと思う
104号室組も、初期みたいにただ突っ掛かるだけの喧嘩じゃなくなったしね
もちろん変わらずそういう部分もあるけど
変わっていくもの、変わらないもの、その全部が愛おしい
今回は最推しメインということもあり、とっても長い記事になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました!
第12幕も楽しみにしています
A3!はいいぞ!