たからばこ

好きなものを好きなだけ

たからもの

 

久しぶりに『ワケあり生徒会!』を読み返した

 

今までにも数え切れないくらい読んできたけど、無印と呼ばれる始まりのシリーズを、数巻抜粋ではなく、1~10巻まで全て通して読んだのはすごく久しぶりだったと思う

 

読み返してみて、やっぱり私にとって『ワケあり生徒会!』はどうしようもなく特別な存在だと感じた

 

 

 

もう本当に、これは信仰の類だと思うんだけど、そう自覚はしてるんだけど、『ワケあり生徒会!』以上に綺麗な物語に出逢ったことがないし、きっとこれから先も、これを超える文学には出逢えないと思う

 

『ワケあり生徒会!』は魔法のiらんどに掲載されていたケータイ小説が書籍化されたものだ

 

第1巻の初版が刊行されたのは2012年

サイト時代も含めれば、今から8年以上前に始まった

 

私が『ワケあり生徒会!』に出逢ったのはおそらく小学5年生の時だったと思う

その頃クラスで流行っていた、ケータイ小説の回し読みの中でクラスメイトから貸してもらった

 

初めて読んだ時は、とにかく出てくる男の子たちがかっこよくて、物語が重たくて(好物 : ドシリアス展開)、何より、誰よりも真っ直ぐで強くて芯のある主人公の女の子のことが好きになった

 

多分この頃から私のオタク的嗜好は形成されていたんだな、と、今になって思う

芯のある強くてかっこいい、だけど女性らしい可愛らしさも兼ね備えた女の子には惹かれる

守ってもらうだけのヒロインなんて要らないとさえ思う

重たい展開が好きなのなんて、アイドリッシュセブンが好きな時点で言わずもがなだ

 

少し話が逸れたけど、この時はこれだけ

小学6年生の途中くらいから回し読みブームも廃れ、その頃にはまだ、3~4巻までしか出ていなかったから、そこまでしか読まなかった

 

だけど中学に上がり、ふとした時に当時『ワケあり生徒会!』を貸してくれていた友人に既に1stシーズンは完結し、新シリーズまで始まっていると聞き、5巻以降を彼女に借りた

 

初めて読んだ時から2年と数ヶ月

ほんの少しだけど大人になっていた私は、その物語の美しさに驚いた

 

小学生の頃には浅く、表面上でしか理解できなかった登場人物たちの感情

物語に秘められたたくさんの伏線

そして、深く深く、見えない場所できつく絡まる複雑な思い

 

ただのかっこいい男の子と女の子の話だと思っていたものが、彼らの感情、そして周りもを巻き込む大きくて美しい物語だったと気がついた時の、あの何とも形容し難い気持ちを私は一生忘れられないと思う

 

その後、近所の本屋で全巻を買い集め、何度も何度も、本当に数え切れないほど読み返した

 

思い返してみれば、『ワケあり生徒会!』は、辛い時やしんどい時に読むことが多かったな、と思う

 

受験期なんかは本当にお世話になった

 

どうしてもこの気持ちを共有したくて、誰かに話したくて、ネットを漁って見つけたファンの立ち上げたサイトでは、他の何にも代え難い友達もできた

 

本当に、『ワケあり生徒会!』にはたくさんのものをもらっていると思う

 

 

 

 

 

私は、同い年の人の中では、たぶん、どちらかと言えば " よく本を読む " 人間で、今までにもいろんな本を読んできたと思う

話題の作品も、何かしらの賞作品も、マイナーなものも

 

だけど、どんなに " 良い " とされる本を読んでも、どんなにその作品に感銘を受けても、やっぱりいつも戻ってくるのは『ワケあり生徒会!』で

 

文章の綺麗さも、物語の緻密さも、美しさも、桁違い

 

言葉にはならない登場人物たちの感情だって、たった一つとして蔑ろにはしない

 

人と人の関わり合いの中で生まれる、複雑に絡まり合って、変化して、矛盾していく感情を、ひとつひとつ丁寧に、決して偽りなんてない状態で描いてくれる

 

だからこそ、こんなにも愛おしく、そんな文章を読んでいると、彼らは確かに生きているのだと感じる

 

どんなに足掻いてもどうにもならない現実に、正解だとはいえなくとも、必死に、真っ直ぐに、向かい合っていくその姿に何度も救われてきた

 

 

 

 

私がこんなにもこの作品に心酔している理由のひとつは、読み返す度に新しい感情を教えてくれることだと思う

 

既に彼らの年齢を上回ってしまった今でも、彼らに追いつくことも、まして並ぶことさえできなかったと思うけど、それでも、歳が近づくにつれて分かることもあったし、大学生になった今でも、この作品に教えてもらうことがたくさんある

 

私は、物語の中で再三出てくる「全く同じ経験をしていない自分には、相手の気持ちを共有はできても共感はできない」「同じ経験をしたことがない限り、この思考は想像の域を出られない」という考え方がすごく好きだ

 

自分の気持ちを押し付けるのではない彼女達の生き方はとても美しい

 

いつだって彼らの世界の中心は、彼ら以外だ

 

私もそんな人間になれたら、と、いつも思う

 

まだまだ到底、足元にも及ばないけど

 

 

 

 

『ワケあり生徒会!』に出逢って、大袈裟でも何でもなく、世界が変わった

この作品に出逢えてなければ知ることもできなかった感情がたくさんある

気付くことさえなかった世界がある

 

『ワケあり生徒会!』は、私にとって、本当に特別で、大切な作品です

 

この作品から抱え切れない程のたくさんのものをもらった

それらは全部、これから先、きっと一生、私の糧となってくれる

そんな素敵な作品に出逢えて良かったと、今日、改めて思った

 

 

 

 

出逢ってくれて、本当にありがとう

 

 

 

 

愛しています