アイドリッシュセブン イベントストーリー ダンス・マカブル
ダンマカめちゃくちゃしんどかった…
まさかアイナナ初の記事がメインストではなくイベストになるとは思わなかった
でもそのくらい、濃度のあるお話だったなと思います。いろんなことを考えさせられた
感情のままに書いていくのでかなりぐちゃぐちゃになりそうだけど、とりあえずこの気持ちを吐き出す場所が要る
そもそもアイドリッシュセブンは本当にアイドル育成ゲームですか??こんな鬼畜シナリオあります??推しがどんどん死んでいくよね冗談抜きで。
あと暴力表現がすごい。これはR15です。血に弱い人、ほんとに見ちゃダメ。
下手したらトラウマ植え付けられるよ…
個人的にはフーガの苦しみ方、報われなさがあまりにもキツかった
戦ばかりの荒野に生まれ、育ったフーガにとってリーベルはまさにヒーローだったんだと思う。強くて、真っ直ぐで、自分たち仲間をとても大切にしてくれて。
そして、そんな彼にとって自分がその他大勢ではない、特別な存在であるという自負もあった
だけど、そんな大好きで、俺の事を目にかけてくれていたリーベルさんはアルムによって少しづつ変えられてしまう
作中読んでいれば、フーガがアルムのことを嫌っていないのは分かる。だけど、何のしがらみもなく好いていたわけでもなかったと思う。
おもしろくない。あいつが来てからリーベルさんは少しづつ変わっていく。俺のヒーローだったのに
そんな気持ちは少なからずあっただろう。彼も作中で自身のそんな気持ちを言及している場面がある
フーガは強く、真っ直ぐで、"俺を見てくれる" リーベルが好きだったんだと思う。リーベルという人を人として見つめることは出来ていなかったのだ
そしてそんな "俺を見てくれる" リーベルさんがアルムに取られてしまった、という可愛らしい嫉妬は、ユニティオーダー戦で自分を助けてくれなかった、アルムの方へ行ってしまったという気持ちで憎悪に変わってしまう
もちろん彼も、なぜあの時リーベルが自分の元へ来なかったのか。来なかったのではなく、クヴァルとの戦いのせいで来れなかったのだと分かってはいる。だけど、頭で理解するのと、心で理解することは別だ。頭では分かってる。だけど、それでも、やはり助けに来て欲しかった。だって貴方は僕のヒーローだったのに
こうして心が壊れてしまったんだと思う
怖かった、辛かった、でも独りだった
人の心を壊すには十分すぎるほど残酷な話だ
そして常軌を逸したフーガはアルムさえいなくなれば、リーベルは以前のように戻り、"俺を見てくれる" んじゃないかと考え、行動に移してしまう
おそらく平常時の彼ならそんな阿呆なことは考えなかった。考えたとしても実際にそんな行動を起こすことに意味は無いことを分かっていた
そんなことをした所でリーベルが止まるわけないというのは、彼が一番よく知っていたのだから
でも、最期をリーベルに看取られて死んでいくのはきっと幸せだったと思う
俺の所へ来てくれた、俺を見ててくれてる、きっとそれだけで十分だった。だけどそれは人と人の関わりの中ではあまりにも難しい事だった
自分 "だけ" をなんて、なかなかないからね
そんなフーガが最期に残す言葉がアルムへの謝罪なのがめちゃくちゃ泣けたな…
なんだかんだ、フーガもアルムのこと好きだったんだよ。リーベルを取られてしまったって気持ちから来る憎悪の方が勝ってしまっただけで
たぶん、ユニティオーダー戦でのことがなければアルムとフーガは良い友人になれただろうし、フーガも物語の最後まで共に戦う仲間の一人でいただろうな
それにしても途中のフーガの狂気は本当にすごかった。棗巳波(西山宏太朗)演技上手すぎてビビる
巳波をフーガに当てたのはまさに適役で、昨年とは変わってしっかり自分たちの力で実力つけてきたŹOOĻの、その中でも飛び抜けて演技が上手い巳波があの役に当てられてるのはめちゃくちゃ計算されてるなと感じた
メインストーリーでの話、キャラの特性をそういう細部に凝らすあたりがアイドリッシュセブンを信頼出来る理由だなあと改めて思った
彼らをただのコンテンツ上のキャラではなく、生きているものとしていることがよく伝わってくる
このフーガと対になっているのがクヴァルなんじゃないかと勝手に思っていて。クヴァルとフーガの違いは、相手に自分の思いをきちんと伝えたか、そして相手の声を聞いたか、なんじゃないかと思う
フーガは自分の中にある理想像のリーベルから離れられず、リーベル自身(自分だけを見てくれる訳では無い、完全無欠ではないリーベル)を見れなかったし、自分の気持ちをリーベルへ伝えることも最後までできなかった
それに対してクヴァルは友人になりたいという気持ちを真っ直ぐアルムへ向け、アルムから返された言葉にもきちんと向き合った。果たしてアルムと友人になれなかったのは本当にリーベルのせいなのか、否、自分がアルムをアルムとして見ていなかったからだということに気づいた
フーガもクヴァルも、対象は違えどリーベルとアルムをそれぞれに崇め奉っていた。その独り善がりな愛情と尊敬を独り善がりなまま終わらせてしまったフーガと、きちんと相手とも自分とも向き合ったクヴァルとの対比なのかな、と感じた
シャオ、あまりにもあっさり死んでしまってちょっと寂しかったんですけども。(ビジュが最高でしたので…そしてラスボス感ありましたので…)ロイエ隊長との関係性は最高でしたね。ああいう話だいすき
シャオはおそらく、幼い頃に拾われ、自分の安全を守ることに必死で、下界のことは無理にでも見ないふりを決め込んで、ただ戦う術だけを身につけて必死で生きてきたんだと思う
知っている。あの惨状を、あの中で生き抜くつらさを、厳しさを。それでも、僕にできることなんてほんのひと握りしかない
それなら、上(アーク)で出来た同僚や、あの荒野から拾い育ててくれた父親のために、できる限りのことを
そうやって、彼は彼なりに生きていたんだと思う。それを責めることは誰にも出来ない
もちろん彼が地上の事情を見て見ぬふりをしてきていたことは最低だけど、それは案外、この物語に出て来ている人はみんな同じだと思う
みんな自分以外を見て見ぬふりしてる
そしてシャオの死を知った(アルムに自白された)ロイエ隊長が、憤るわけでもなくただ静かに昔話をするのが印象的だった
ロイエ隊長はアルムのことを赦せないだろうけど、でもアルムがそんな力をつけてしまったのは自分達のせいで、(知らなかったとはいえ)その力にあやかっていたのも自分達だから、きっとアルムだけを責めることは出来ないだろうな
シャオが死んだのは巡り巡って自分たちのせいでもあるからな…
天子の力のおかげで自分たちはいい暮らしが出来ていたけど、その天子の力を以て自分の大切な人が死んでしまった
逃げ場のない話…こわい…
ヴィダは、え、お前死ぬんか!?という感じでしたけども。だって主題歌TRIGGERだよ?主要人物のはずじゃん…死ぬんか…死ぬんやな…
ヴィダがもう少し黒縄夜行以外にも目を向けられる子だったら結果は変わってただろうと思う
彼の目的は安寧に暮らすことじゃなくて、自分たちの受けてきた屈辱をその他大勢にやり返すってことだったから、たとえあのまま生きていたとしても彼は一生幸せになれなかったんじゃないかな
だけど、だからこそ彼も幸せになれる方法はあったはずで、それは結局アークやら地上やらという格差がなけば実現されたのだと思う
それがなければ黒縄夜行という組織は生まれず、彼は死者の声に囚われることも無く、ただ笑って過ごせていただろうな
アルムたちは周りの助けがあって希望に向かっているけど、ことヴィダに関しては周りがどうこう言ったから変わるような人間ではなかったので(実際、家族同然のオルカが必死に説得してもダメだった)
地上とアークという格差がある世界に生まれた以上、どんな道を歩んでも、彼に対して笑顔のハッピーエンドは待っていなかったんじゃないかな、と思った
私はこの黒縄夜行というグループが、大好きだけど理解し難くて。彼らの関係性はとても好き
狭いコミュニティ内で仲間を大切にし、その他を異物と排除する。日本人の典型的なタイプを誇張すればこんな感じだと思う
だからこそ彼らは仲間は誰より大切にしていたグループだった
けど彼らのやっている「僕らの与えられた傷みを周りに返す」というやり方は、結果ただのイタチごっこでしかないと思う。終わりの見えないループ
そんなことをして幸せになれる人間はゼロだ
本当に仲間を大切にし、黒縄夜行を守っていく意志があったなら、ヴィダにもオルカのような心が必要だった。過去や狭いコミュニティに縛られたままではいけなかった
オルカはそのことに気づけたけど、ヴィダはそこに気づけなかった
死者の声に囚われ、過去の仲間を大切にしすぎたが為に、目の前の、その先の仲間を見ることが出来なかった
それは黒縄夜行の正しい在り方で、だけど間違った結果を連れてきた
何が良かったのかなんて分からないけど、みんなで笑って過ごすには、オルカのような外へ目を向ける強さも必要だったんだと思う
ミゼリコルドめちゃくちゃなラスボスだったな
エーテルネーアはお前を友達だと言ったのに…ミゼリコルド…許せない…
まぁでも彼は彼で自分の世界が壊れるのが怖かったんだろうな
天子を失えば今ほどの良い暮らしができないことは分かっていたし、非難を受けるのはナーヴ教会であることも避けられなかった
人としてはある意味の正しい選択だったのかもしれない
だからって許せるわけじゃないけど
そしてまさかの選択肢
世界は二分されているってそういう意味もあったんか…と一人で頭抱えた
ただ、これに関してはどちらが良いとか正規だとかそういうレベルの話じゃないなと思った
完全なハッピーエンドにはなれないことは、たくさんの思想がぶつかり、たくさんの人間が死んで行った話の流れからして分かっていたけど、まさかここまで救いのない話になるとは思わなかったな
まず上選択肢の話から
リーベルに責められたとて、共に永遠を生きることを選んだアルム。それにしても地下3人が死ぬとは予想外でした…でも彼らはそれで良かったのかな。かける言葉はお疲れ様、安らかに、それで十分だ
1000年以上という途方もない時間を、クオンは「あれだけ、時間があったからカバネのことなら何となく分かる」と言い、カバネは「あれだけ、時間があったのにクオンときちんと話をできなかった」と言った
この対比もまた、おもしろいなと思った
カバネは恐らく、あの時自分が正義と信じて取った行動がクオンを永遠に縛り付けてしまったことへの罪悪感とともに、クオンさえ助けなければ自分がこんな目にあうこともなかったという憤りも感じていたんだと思う。だからこそ、彼と向き合えず、遠ざけるようになってしまった
だけどクオンは、永遠を生きることは苦しいけど、助けてもらわなければ良かったと思ったことは1度もないと言っていた
相手を真っ直ぐ見れなかったが為に、1000年もの時があっても後悔を残したカバネと、相手をきちんと見ていたからこそ、今さら何ともないクオン
何年生きようと、死ぬ時どうかはそれまでの生き様次第って事なのかな
そんなカバネとクオンが信じた、アルムとリーベルの自分たちとは違う未来を、アルム自身がカバネたちと重ねて「だって彼らがそうだった」って不安そうにしてるのがたまらなかった。大丈夫、アルムとリーベルなら違う未来も描ける、そう信じてくれた人がいたのに、やはりその場に立てば不安になる。その人間らしさが綺麗だった
上選択肢ですごく印象深かったのは、「俺も共に永遠を」と言えなかったクヴァルに対して、アルムが「それでいい」と返せたこと
これまでのアルムなら、友なら名前を呼んでくれと言っていたアルムなら、たぶんこんな返しは出来なかった。それまで形あるものに縋っていた彼は、リーベルたちと出会い、クヴァルと本音で話し、目には見えなくとも確かにそこにある愛情や絆を感じられるようになっていたんだと思う。だから「お前はそれでいい、それでも友達であることは変わらない」と言えたんだろう
そして下選択肢
個人的にはこっちのほうがハッピーエンドかな、と思った。でも上選択肢で主題歌の曲名回収されているからそっちがトゥルーエンドなのかな…わからん
それはどっちでもいいんだけど
下選択肢では、アイドリッシュセブンの劇中劇として、アイドルの演じた劇としての照準を合わせることに重点が置かれている気がした
特にアルムの「私は天子だった」から後が、まさにそれで。アイドルっていうのは、みんなに、ファンに崇め奉られ、まるで完全無欠、全ての期待に応え、夢を与えるためだけの偶像のような、天子のような扱いを受けることが多いし、それを受けて応えていくのが仕事
だけど彼らは完璧じゃない。そんな風に崇められる程できた神様じゃない。ただの、その辺と同じ人間だ
だからいっぱい助けてほしい。励ましてほしい。そうやってファンと、周りのスタッフと仲間と、そんな人達に支えられながら彼らはやっと立っていられる。その恩返しに、少しでも希望を与え、背中を押すことが出来たなら
きっと、アイドリッシュセブンが目指しているものはこれだと思う。だから彼らは、このコンテンツは、私たちファンを大切にしてくれるし、アイドルを人間として描ける。それをここのアルムを通して感じられて良かった
そしてダンス・マカブル全体を通して伝えられていた「死は終わりではない」ということが最後に集約されていたように感じた
ナーヴ教会に捕らわれていた頃、アルムは生きていたけど、生きながらに死んでいたと思う。そして作中死んでいった彼らは、死んでしまったけど、まだ誰かの中で生きているのなら、そこに何も無くなってしまった訳ではない。実際、死んでいったフーガの教えたパンチは、アルムが身を守る術となってる。あそこ耐えられずぼろぼろ泣いてしまった…
死は終わりではない。だからといって始まりかといえば、そんな綺麗事が言えるほどの世界ではないけれど。でも、彼らの命は、残したものは、すぐにすぐ消え去るようなものでは無いはずだから。
なんにせよ終わりましたねダンス・マカブル
これを書き始めたのはつい昨日
まさか最後がこうなるとは…という気持ちだけど、綺麗なハッピーエンドじゃないけど、でも確かな世界観があって良かった
題材が題材なだけに、めちゃくちゃつらかったし正解も分からないけど、でもこの世界はこれだから成り立っているのだと感じた
登場人物の全てに説得力があって、ifを考えられない
強い物語だったと思います
ちょっと読み進めるのがしんどいこともあったけど、やっぱりアイドリッシュセブンは信頼のおけるコンテンツだなと改めて感じました
ありがとうアイドリッシュセブン