たからばこ

好きなものを好きなだけ

A3! メインストーリー 第10幕 夢の跡 感想

 

永遠なんてない、それでも_

CMで、そしてPVで何度も耳にして、聞く度に心震わせていた言葉

これはもうどうしたって言語化できないんだけど、咲也くんの声でこの言葉を聞く度、泣きそうな気持ちで胸がいっぱいになっていた

それを、それほどの力と意味を持ったこの言葉を、あの場面で 咲也くんが言うことの意味、必要性

うまく説明は出来ないけど、彼は、彼らは、MANKAIカンパニーはもう大丈夫だと思った

 

私はどちらかと言えば初代の人達寄りの考え方をするほうで

どうせいつか別れが来るんだから、永遠なんてないんだから、意識したことは無かったけど ずっと 心のどこかでそう思って生きてきた

だけど咲也くんの、天馬くんの、万里くんの、紬さんの言葉を聞いて、今この瞬間は永遠には続かないけど、ここでもらった気持ち、やってきたことは、永遠に 死ぬまで続いていくんだって思った

確かにそうかもしれない

中学も高校も、部活のチームメイトやクラスメイトにはもう連絡もとっていないような人が多いけど、それでも あの頃の気持ちが、あの子たちとの楽しかった日々がなかったことになる訳じゃない

だってあの時は、たしかに楽しかった 幸せだった

未だにその頃の気持ちが鮮明に思い出せるくらいには

 

この思いや経験は永遠に、私が死ぬまで続いていくんだ

そう思うと、これまでの日々全てが愛おしくなった

当たり前のことかもしれないけど、とても大切なことだと思った

 

きっと初代の人たちだって、本気で言ってたわけじゃない

だけど本心だったんだと思う

 

初代組だって仲間との永遠を本気で信じてた

彼らと永遠に芝居を続けていくことを心から望んでた

それでもそれは果たされなかった

誰にもどうしようもない " 時間の流れ " に逆らえず そうなる運命を受け入れるしか無かった

 

そして ある意味では賢く ある意味ではずるい大人たちは 永遠なんてないのだと自分に言い聞かせることにした

いつか終わりが来るものであったのだから、あの時の別れは 仕方がなかったのだと

そうしてようやくあの日々を忘れられるのだと 信じて疑わなかった

 

それでもやはり 過去に焦がれる気持ちは日を追う毎に強くなる

心のどこかでは 永遠を、もう一度あの日々が戻ってくることを期待してしまう

楽しかったあの日々を懐かしく そして仲間とがむしゃらに頑張って笑い合っていたあの頃の自分を妬ましく思う気持ちは 簡単に消えてはくれない

たとえ今が幸せだったとしても

 

もう一度、あの頃のように、アイツらと

 

だけどそれは 1度あの日々を手放した自分たちには叶えられぬ願いだ

雄三さんが言ったようにあの場所はもう他の誰かのための場所だから

彼らはそれを痛いほどわかって居た

 

そして 新生組と出会い もう一度 物語が始まる

 

楽しかったはずのあの日々を どこか悲観的に見てしまっていた自分たちに代えて 若い彼らは自分たちの穿ったその見方を覆す

たとえ交わるのが一瞬だとしても 今の仲間は確かに本物だ、と あの頃の自分が言いたかった言葉を 怖くて口に出来なかった言葉を 叫んでくれる

仕方がなかったのだと自分に言い聞かせることでようやく忘れられたと思っていたあの日々を 思い出させてくれる

 

懐かしいメンバーが揃えば そこはたちまち あの頃と同じになる

永遠なんてないのだと もう二度と戻ってこないのだと思っていたあの頃の気持ちが いとも簡単に蘇ってくる

何度季節が巡っても あの頃と立場が違っても 確かに彼らは仲間だから

 

たった1人の演劇バカから始まったMANKAIカンパニーには いつしか沢山の人が集まり 笑顔を咲かせる場となり、そこで得た経験を元に仲間たちは新しい夢へ向かった

そうして1度は寂れてしまったMANKAIカンパニーだが 今また 演劇バカな少年の手によってたくさんの笑い声が響いている

 

1度は道を違えた自分たちも 数年後の今 こうしてまた昔のように笑い合うことが出来ている

 

永遠なんてものは無いかもしれない

それでも続いていくもの 受け継がれるものは確かにある

 

それを知った彼らは それを知っている彼らは もう二度と迷わないだろう

 

 

 

 

ここで少しだけ 雛森さんについて触れておきたいと思う

彼は芝居や仲間に対する劣等感から 退団を望んだ

一見 他のみんなとは違う 負な理由である気がする(私もついさっきまでそう考えていた)

だけどよく考えたら これはこれで正解だったんだと思う

 

劣等感を抱えたまま続けるのは苦しい

特にそのものが好きであれば好きであるほど

自分より優秀な人と並べられ 比べられ 何度も烙印を押される(あるいは自分で押してしまう)

好きな気持ちと技術は 必ずしも釣り合う訳では無い

 

大好きだったはずのものが 少しずつ苦痛に変わる

好きなのか 分からなくなる

これほどまでに苦しいことは無いような気がする

 

好きなものを好きだと言い続けるために 彼が選んだ芝居や舞台を裏から支え、自分の好きを発信できる " 雑誌編集 " という仕事は まさに彼にとって天職だったんだろう

もちろん、娘さんたちが言っていたように 1番は今でも芝居だろうけど

 

 

 

 

夢の跡の舞台 本当に素敵でした

特に綴くんが最後まで甘っちょろいご都合主義を貫いたところはすごく良かった

彼が柊さんの言葉は図星だったって言っていた通り、自分の弱点なんて自分が一番よく分かってるはずで

分かっていたけど、彼は今までそれを変えなかったし変えられなかった

それが他人の言葉で簡単に変わるはずもなくて

もちろん、物語的にはあそこで綴くんが大きな成長を遂げた方が良かったのかもしれないけど、彼の本の良さが甘くて優しい結末にあるのもまた事実で

舞台なんだから、造物なんだから、甘っちょろいご都合主義だっていいと思う

それが綴くんの描きたいもの、見たい世界なら、それによって救われる人も少なからずいるから

 

綴くんが迷った時、芝居で彼を支え、彼の悩みに応えるっていうのがすごく春組らしいなと思った

思えば 劇団員が集まらなくて困っていた時も、みんなと心を通わせることが出来なくて迷った時も、5人の形を保っていられなくなりそうになった時も、春組はいつも芝居と舞台で挑んできた

みんながそれぞれに成長して 永遠を純粋に追い掛けられる程の子供にはもう戻れなくなった今だけど やっぱり根本は何も変わってないんだって感じられた

彼らはずっと 舞台が好きで 仲間が好きで 芝居に救われてきた

 

これは夏組にも言えることで

夏組が夏組として 仲間として笑い合うきっかけになったあの合宿場をここで持ってくるのはすごくいい演出だったと思う

永遠なんてない、だけど変わらないものは確かにある

今回 終幕に向かっていく雰囲気が漂う中で 第10幕全体を通してそれを感じられたのはすごく良かった

 

つい最近アニメを見ていたせいか 春夏に関しては要所要所で成長を感じて涙腺が…

初めはあんなに監督以外に興味がなかった真澄くんが綴くんの世話を焼くようになっただとか、天馬くんの事を苦手に思っていた椋くんが彼の為に何かしてあげたいって躍起になってるところだとか、一成くんが「やりたい事なんてひとつじゃなくていいんだよ」って背中を押すところだとか、真澄くんが「家族でも思ってることは言わないと伝わらない」って言い切ってくれたところとか、他にもたくさん

今まで彼らが歩んできた道を垣間見ることができて胸がいっぱいになった

 

今までのMANKAIカンパニーとこれからのMANKAIカンパニー

その全てが詰まった第10幕だったと思います

 

上手く言葉に出来ないけど、とても大事なものを教えてもらいました

 

それにしても 想像以上に大きなものを相手にした スケールの大きい話に発展しそうな予感がしますね…

実はA3!のその仰々しい感じがあまり得意では無いので(小声)最後を気持ちよく終われるかすごく不安です(小声)

 

何なら今回が最後でもいいくらい、私的には満足で胸がいっぱいになったストーリーでした

 

ほんと、この読了後の「何か(具体的ではなくとも)大切なものを教えてもらった」っていう感覚はそう味わえるものでは無いので、すごくいい物語だったと思います

 

今回でA3!の株が爆上がりしましたね

やっぱり1本筋を決めて進めていく物語は強い

PVの効果も大きいと思います

あのPVにはかなり心奪われていたので

 

兎にも角にも、1/2 EVER LASTING お疲れ様でした

後半 2/2 FULL BLOOMING も楽しみにしています