たからばこ

好きなものを好きなだけ

MILGRAM ーミルグラムー 第1審 コトコ 考察

 

 

DECO*27×山中拓也×OTOIROによる視聴者参加型楽曲プロジェクト「MILGRAM ーミルグラムー」

 

今回は囚人番号010番・杠 琴子について考察する

 

ー 目次 ー

 

基本情報

 

20 / 女 / 171cm / A型

12月15日生 / いて座

 

切れ長の目が特徴的で、容姿も性格もクール。論理的で理性的。頭の回転が早く、弁も立つ。見た目や言動のせいで一見冷たく見えるが、歯に衣着せない性格なだけで悪意はない。エスよりもミルグラムの面々を観察している節があり情報交換を持ちかけてくることもある。

 

 

 

MV公開前

 

今回のコトコはMVよりCD発売が先ということで、待ちきれずひとまずMVを見る前に考えたことをまとめて行きます

 

楽曲とボイスドラマの先行配信型、結構ありでは…?

MVが出るまで色々想像を膨らませることができて、かなり楽しいですね

 

 

 

楽曲 HARROW より

 

第一印象としては、何かしらに虐げられて生きてきた子なのかなと思った

「黙って強さに泣くなんて〜」とかからは "強い何か" に屈服したくないって気持ちがすごく色濃く見えた

つまりその "強い何か" に反発しての殺しかなと思う

 

あとは自分じゃない「誰か」を示す言葉が多かったから、自分の為というよりは、自分に近しい立場にあるその他の為に犯した罪の可能性が高いかなあ

 

むかし自分が苦しい思いをしていて、その昔の自分と同じ境遇にある誰かを救うための正義で殺人

だとしたら残酷だな

 

コトコにとってそれは紛れもなく正しい行動で、あの頃の自分が必死に求めていた救いそのものであったんだろうけど、それが他の者にとっても正しく救いであるとは限らない

例えばアマネのように、宗教に洗脳されていることを私たちは「可哀想だ」と思ったけど、彼女自身は「これが幸せ。間違ってない」と思っていることだってある

極端な話をすれば、世の中には虐げられることを善しとする性的嗜好の人だっているのだ

 

コトコには、それがどこまで見えていたんだろう

彼女の独断による身勝手な正義だったのか、事実相手から助けを求められて現れるヒーローだったのか

 

まだMVを見ていないということを後ろ盾に、好き勝手喋りますけども

 

コトコがそういう「弱者を虐げる悪人を懲らしめたい」っていう思考に至ったのはなんでなのかなと考えた時、まぁ一番妥当なのは冒頭にも書いた通り「自分自身が何者かに虐げられて生きてきたから」だと思う

そしてその中で身近に感じられるものとしては「両親からの抑圧」もしくは「友人間でのイジメ」かなぁ

 

両親の場合、わたしが考えたのは「強い抑圧の中で厳しく躾られ、自分の夢さえも自由に語れないような状況にあった」ということ

性別を理由に "それらしい" 振る舞いを求められていたとか、両親の理想のために彼女自身を蔑ろにされていたとか

もっとシビアに行くなら、父親からの性的搾取とかも考えられる

もちろんこれらは両親に限った話ではないのだけど、いずれにせよ「言うことを聞かなくちゃいけなくて、常に身近にいる人物からの抑圧」であったんじゃないかな

そうでなければハイハイって軽い感じに流せると思うし、避けることも出来るから「報復を」なんて思うほど強い憎しみは抱かないと思う

 

いや、人それぞれか?

 

少なくともわたしは女として生きてきて、性を理由にとやかく言われたり、それこそ性的な嫌な目に遭ったこともあるけど、そのどれもを軽く受け流してここまで来た

まぁ性的搾取は程度によるかなぁ…

セクハラのようなことであれば多少トラウマにはなれど、たった1回で相手のことを殺したいほど憎むようにはならないけど、実際に合意なしの性交渉をされたとかになればまた話は別だし

とくに女性は妊娠したりする可能性があるから、その後の人生かかってるんだよな

それ以上に精神的な傷の深さは相当のものになると思うし

セクハラみたいなものも回数重なれば強い憎しみを抱きもするだろう

 

ただ、このどれもが幸い今のところわたしにはさして関係のない世界だから、想像でしかないけど

実際に自分がその立場に立ってどう思うかなんて、その時にならないと誰にも分からない

 

あとはイジメだけど、少なくともこの時点で見えている情報からではコトコ自身が虐められるタイプには見えないから、周りで起きたイジメを見て、もしくは社会で度々起こるイジメ問題について、おかしいと思ったとかなのかな

自分が実際に辛い目にあった訳ではなくて、全く関係のないいじめられっ子たちを助けようとした、とか?

 

コトコも幼い頃にイジメに遭ってて、それを克服するために格闘技をやり始め、今になってその格闘技を使っていじめっ子たちを懲らしめてるとかも考えられるかな

自分をいじめたヤツらじゃなくて、この世にごまんといる関係のないいじめっ子たちを一掃しようとしてる?

 

でもこれ、どの説にしても相手を殺すほどになることあるのかな

唯一考えられるのは「合意なしの性交渉をさせられた」だけど、あとのやつは「少し痛い目見せるだけのつもりがやりすぎて殺しちゃった」くらいにしか思えない

法的なところの正当防衛もしくは過失による殺人は赦されるか否かってことか?

 

だけど彼女、自分を辱めた相手というよりは「全く関係のない第三者を虐げていた者を殺した」って感じだから、それで正当防衛になるのか?って感じはする

だとすると過失による殺人かな

 

 

 

ボイスドラマ TASK より

 

なんかこの、会話の主導権の全てをコトコが持っている感じが最高に不快でしたね

エスの様子も何かおかしいし。いつもと違いすぎたよね

何でだろう?すごく掻き乱されている感じがした

コトコはなかなか厄介な相手になりそうだな

 

ミルグラムの構造に対しておもしろい話が聞けた

囚人の勝手な行動を許すような、ね

もしそれが本当なら、そして意図されたものなら、ミルグラムは囚人からのアクションを期待しているんだろうか

 

たしかエスの考察時にも書いたけど、やっぱり囚人間での諍いは不回避なのかな

エスは「囚人から看守への攻撃は不可能」って聞いた時、安堵するんじゃなくて「じゃあ囚人間では?」というところまで思い至らなくちゃいけなかったのかもしれない

どうか囚人同士で殺し合いなんてことにだけはなりませんように

全員で揃って第三審を迎えたいですね

 

そしてほかの囚人たちについても面白い話。これは第二審がすごく楽しみだな

特にフータ。個人的には「赦さない」と判断されたら、謝り倒して赦しを乞うてくる感じになるかなと思ってたけど、自己弁護の方に走ったみたい

こういう振れ幅が目に見えて大きい人は、見てて楽しいからいいね(下衆)

 

コトコはやっぱり「弱者を守るための殺人」と言ったところか

彼女の言う "悪" は何を指しているんだろうな

例えばミルグラムも、コトコにとっては好都合で有難い場所かもしれないけど、ムウにとっては自分を拘束して尋問してくる嫌な場所でしかないはず

つまりムウにとってミルグラムは "悪" だと思う

だけどコトコはきっとそこには目を向けられていない

 

この世の中に "完全な悪" と呼べるものはいくつあるだろう

どんなに嫌味な上司も、彼の家族からすればきっと大切な人だと思う

反対に私の大切な人も、誰かを傷つけ恨まれているかもしれない

 

そんな世の中で、彼女が彼女の価値基準で奪っていい命、罰していい行いはあるんだろうか

まぁただこれはミルグラムの看守として全てを一任されているエス、延いては私たち視聴者にそのまま返ってくる問い掛けになるんだけど

 

コトコの言い分は痛いほどよく分かる

私だってできることなら、この世から争いも辛い思いをする人間もなくしたい

だけどその方法は、決して「悪者を殺すこと」ではない

相手がどんなに悪人だとして、人殺しをしたコトコはもう既に "善" とは言えないだろう

そうしたらコトコがまたどこかの "平和" を夢見る人に殺されるんだろうか

 

そんなのはただのイタチごっこでしかない

世界から "悪" を消すことを望むより、隣の泣いている人に手を差し伸べてあげること、少し誰かに優しくしてあげること、それだけでいいと思う

 

ダンマカの黒縄夜行を彷彿とさせる話だな

彼らは自分たちが受けてきた痛みをその他大勢へ返すことを目的に生きていた

それはやはり、イタチごっこだ。終わりの見えないループ

そんなことをして幸せになれる人間はゼロだった

オルカはそれではダメだということに気付き、黒縄夜行以外にも目を向けられたけど、ヴィダはそうは出来なかった

たったそれだけ、されどそれが大きく命運を分けた

(別ジャンルの話ですみません。アプリゲーム・アイドリッシュセブン内のイベントストーリー「ダンスマカブル」の話をしております。脚本がミルグラムと同じ山中拓也さんということで、少し思い至った所でもありました)

 

同じことだろうと思う

結局、誰かに痛みを与えることは巡り巡って自分の首を絞めるし、それによって誰かを幸せにすることなんてできない

自分のことを正当化したい者の、正義のヒーローに憧れた者のエゴでしかないのだ。テレビの中でなら明確な悪役がいてくれるけど、現実ではそうはいかないから

 

やられたままなのは悔しい。どうして自分だけと思う。それでも、同じことを仕返してしまったら同じ穴の狢になるだけだろう

 

綺麗事かもしれないけど、わたしはこの思想は案外この世の条理を端的に表していると思う

暴力によって生まれる幸福などないし、あったとしてそれは一時のまやかしに過ぎない

 

と思うわけですが、この世には「正当防衛」と呼ばれるものがあることもまた事実で

それは言ってしまえば、与えられた暴力に対して同じだけかそれ以上の力を持って対抗することを肯定したもの

 

そして実際、コトコも「司法によって正当防衛を認められた」と言っている。それがどこまで本当かを私たちが知ることは出来ないけれど

 

まぁここは、MVを見てみないと何とも言えないな

どういう経緯で、何がどうなって殺人を犯したのか

司法が「正当防衛である」と判断した部分も含めて見られるといいなぁと思う

 

 

 

MV公開後

 

HARROW MVより

 

MVを見て最初に思ったのは「事前の予想と全然違う」でしたね

 

曲だけ聞いた時はコトコは過去の自分の復讐を果たすようにいろんな"悪人"を裁いてるのかと思ってたけど、MV見る限りそんな話ではなさそう

 

確かにMV内ではやたらあの交通事故(?)の犯人に固執しているように見えた

上級国民の息子が交通事故で女子小学生を轢き殺した話、さらには10人もの女児を殺していた話はコトコがこうして"悪者"を自分の手で裁こうと思ったきっかけなのかもしれない

「権力者のせいで有耶無耶にされる事件があるなら、私がその罪を裁いてやる」といったところか

 

そしてMVの最後、倉庫の中で殺したのはその事件の犯人の男なんだと思う

もしくはその事件の男と似たようなことをしようとしていたから殺した

 

おそらくコトコはその事件のとき、目の前で友人を殺されたのだと思う

MVに出てくる口をガムテープで塞がれた女の子はコトコだろう

そして投げ出された傷だらけの腕が、犯人に殺されてしまった彼女の友人のもの


だから当初の思い通り、そのときの犯人を追いかけて様々な悪人を当たっていたのかなとも思ったけど、探してる人がいるなら、相手がその人じゃないと分かったらもう関わるのをやめるんじゃないだろうか

 

コトコは老人から現金を奪い取った乾井という男、きっとその他にもMVに出てきた様々な事件の容疑者にも暴行を加えている

殺してしまったのかは定かではないけど「この人は目当ての人ではない」そう分かったとしても追い詰めていたぶることは辞めなかった

それはどうしてだろう

 

それに、途中で並べられるたくさんの事件の記事たちには一貫性がない
女の人の荷物を奪った、老人から現金を騙し取った、女子高生のスカートの中を盗撮してた、自転車を盗難した…被害者も被害の内容もバラバラ

特定の誰かを探しているとはとても思えない

 

最終的な目標はあの倉庫の犯人を殺すことだったとして、それまでにたくさんの人に暴行をしていた意味が分からない

 

警察が隠蔽しようとした事件を裁いてるならそれは「権力のせいで有耶無耶にされる事件を自分の手で裁きたい」という気持ちに基づいた正義かもしれないけど、今のコトコがやってるのは「警察が追っている犯人を先回りして罰する」だから、そうする理由が見つからない

 

MV公開前には「世の中にはいろんな正義と悪があるのに、コトコがコトコの価値基準で罰していい行い、奪っていい命はあるのか」と言ったけど、実際にMVを見てみたらコトコが罰していたのは、警察が追っている紛れもない悪なんだよな

だからこそ、司法に正当防衛だと思わせるのは容易だっただろう

その人たちが自分にも襲いかかってきたと言えばそれで済む
だけどその人達に報いを受けさせるのはコトコのやるべき事ではなかったんじゃないか

 

始まりは確かに権力者に虐げられた弱者を守るため、過去の自分のための正義だったのかもしれないだけど、今の彼女の行いはそのころとはもう形を変えてしまってるんじゃないか

「弱者を守るための正義」ではなく「悪を裁くための「弱者を守るための正義」という大義名分」になってやしないか

 

コトコ本人も気付いていなかっただけで、彼女の本質は「暴力を振るう」ということに快楽を見い出すタイプの人間で、それを正当化する理由として世間でもニュースにされるほどの"悪人"をターゲットにしているのではないかという思いが拭えない

 

このMVで最も気にかかるのが雪原でコトコが1度疲れたように足を止めて、その後また走り出すまでの描写

それはまるで、牙を見せたウルフに感化されてコトコが彼女の中の暴力的なモノを解放したように見える
あの口角を上げる様子が何とも不気味

 

始まりは弱者を守るためのものだったはずが、コトコの中にある暴力的な何かが解放されて今の形(悪人に自らが制裁と称した暴力を与えることを楽しんでいる状態)になっている場合、それってミコトの中の俺ミコトと何が違うんだろう
人格としての形を持ってないだけ、記憶が共有できるだけで、その本質って同じなんじゃないのかな

 

 

 

まとめ

 

・おそらくコトコが殺したのは過去に交通事故を起こし、10人もの女児を殺した犯人である

・コトコもその事件に被害者として関わっていたのではないか

・ただ、純粋にその犯人を探し当てることだけが目的ではなく、他のたくさんの"悪人"に暴行を加えていた

・この"悪人"は法を犯した、れっきとした犯罪者である

・MV内、雪原でのウルフに唆されたようなコトコの不気味な笑みは「彼女の中の暴力的な何かの解放」を示唆しているのではないか

 

始まりは紛れもなく過去の事件への復讐であり、ある種の正義だったのだと思う

だけどやっぱり私はどうしても、「警察が追っている事件に介入している」というところが理解できない

相手の邪魔をして勝手に自分の判断で裁くというのはどうなんだろう

 

過去に権力によって警察から自分の受けた屈辱をなかったことにされているのだから、自分の手で裁きたい、警察なんて司法なんて信じられないと思うコトコの気持ちも分からないわけじゃないし、私だって別に警察を崇めるつもりはないけれど、それでもそれは正義ではないと思う

 

何より、コトコ自身が犯行の際に男物の靴を使ったりと「自分の正体はバレないようにしている」ところにどうしようもない憤りを感じる

自分のしていることが正しいというのなら、そんなふうにする必要性はどこにもないはずだ

「悪人を裁きはしたいけど、自分は裁きを受けたくない」それはフェアじゃないだろう

 

少なくともコトコの言動から、わたしは(それがたとえ独り善がりであったとしても)正義感も、何かに対する強い芯も感じられなかった

ただ自分に都合の良いように言葉を並べ、表面的な正義面をして自分の行動を正当化しているようにしか思えない

まして、反省なんて微塵もしていないだろう

 

ということで、第一審ではわたしはコトコには赦さないという判断をしたいと思います

 

 

 

 

 

さらにまた何か気づいたことがあれば追記していきます。ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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